
意外と知らない、眼鏡やレンズの正しい知識を得ることは、ご自身の目や視力をいたわることに役立ちます。健康で快適な視生活を送るための参考にしてみてください。

Vol.10 調光レンズについてのお話
紫外線や眩しさの対策として、サングラスは大変有効なものです。
ですが、普段度付きのメガネをご使用なさっている方ですと、度付きのサングラスを。
コンタクトレンズや裸眼でお過ごしの方でも、サングラスを別で持つ必要が出てきます。
そこで今回は、紫外線や可視光線によってレンズカラーが変化する「調光(ちょうこう)レンズ」のお話です。
1.調光レンズとは
太陽光や紫外線がレンズに当たったり、レンズの温度が低くなると、それに反応してレンズに色が変わります。
レンズ本体やコーティングに太陽光や紫外線で反応する分子(調光材)が入っていて、当たる線量が多ければ色が濃くなり、少なくなれば色が薄くなると言うかなり化学的な仕組みです。
この調光レンズの中にも、どんな光線に反応するのか、どの部分が反応するのかでいくつか分類が出来ます。


1-1紫外線調光レンズ
一般的に「調光レンズ」と表記されて販売されているレンズ。紫外線に反応するレンズ素材若しくは、コーティングが施されているもの。
紫外線にのみ反応し色が変わります。屋外で天気の良い日ならば色も濃く変化(発色)し、屋内に入ると色が抜ける変化(退色)をします。
紫外線にのみ反応する為、窓ガラスにUVカットが施されている車内や、帽子や日傘で紫外線が当たらない状態、曇りの日や紫外線量が少ない日中等で色の変化に違いが出ます。特に、車の中ではほとんど色は変わりません。
1-2可視光線調光レンズ
紫外線だけでなく、可視光線(目で見ることのできる光線)でも反応しレンズの色が変わります。
レンズメーカーや販売店によって商品名は様々です。
可視光線で色が変化する為、UVカットが施されている車内でも色が変わります。屋内でもごく薄い色が入った状態(可視光線透過率90~80%位)です。
1-3レンズ素材とコーティング
レンズ素材に調光材を練りこんで作られているものと、調光材をレンズにコーティングとして施しているものがあります。
レンズ素材に練りこんで作っている場合、度が入った際に一枚のレンズの中で厚みの差が出てしまい、発色時に「色むら」が出てしまいます。対して、調光材をコーティングして作るものはレンズの厚みの差で起こる色むらが無く、均等に発色します。
コーティングによる調光機能にもデメリットは存在します。コーティングが傷付いてしまったり、何かにぶつかってへこんでしまったりすると、その部分の調光機能が低下し、色むらが出来てしまうのです。レンズ素材に練りこんで作っているものは、傷やへこみが出来てしまっても、調光機能自体に変化はありません。
2.調光レンズと紫外線対策
Vol.8「レンズカラーのお話」や、Vol.9「紫外線のお話」でご案内している通り、紫外線は目に見えない光ですので、調光レンズでもしっかりUVカットは出来ています。発色している際には眩しさも防いでくれますので、サングラスとしての効力も発揮します。
気象庁によると、快晴の時の紫外線を100%とすると、晴れの時約95%、薄曇りの時約80~90%、曇りの時約60%、雨の時約30%の量になるそうです。
曇りの日でも快晴時と比べると紫外線量は少ないですが、可視光に比べると減少量が少ないので、曇りの日でも紫外線には気をつける必要があります。曇りの時でも雲の間から太陽が出ている場合には、雲からの散乱光が加わるため快晴の時よりも紫外線の量が多くなることもあるそうです。
色の変化の無いサングラスは曇りの日など活躍する場面が減ってしまいますが、調光レンズなら紫外線量などで発色の度合いも変わる為、晴れの日ならば濃い、曇りの日なら薄いサングラスになってくれます。

3.調光レンズの度付きメガネ
度付きの単焦点レンズや遠近両用レンズに調光機能を付けて承ることが出来ます。もちろん、度無しでも作成することは出来ます。
お好きなフレームで承ることが出来ますが、レンズメーカーによってレンズの種類や色に違いがございますので、是非店舗スタッフにお問い合わせください。
4.調光レンズの注意点
ここまで、調光レンズについてお話させていただきましたが、最後に実際に使う上での注意点がございます。
◎調光レンズの濃度は紫外線の強さや温度により左右されます。